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ときどきブックレビュー  

小学館 小学四年生 (昭和三十三年八月号) を読む


 

先日古本屋で購入した小学館小学四年生を題材に仮想対談(形式)で紹介します。

対談出演者 切り絵、童話作家 風来坊さん 三十三歳。

ジャーナリスト さん 四十三歳。


2000年八月十六日(水曜日)

山の上ホテル地下10階会議室(うそうそ)


「今日はお忙しい中、お集まりいただいてありがとうございます。今日のテーマは小学四年生を読むなんですが、お二人はご自分の時代に読んでいましたでしょうか」

風来坊「こんにちは。そうですね、読んでいました。僕は特に小学生の時は学研、旺文社とかが出していた学習雑誌は気合いをいれて読んでいました(笑)」
毅さん「風来坊さん、お久しぶりですね。私も学習雑誌は親が購入していました。実家に行くと今でも昔の雑誌が残っていますよ」
進行係「するとお二人とも小学館の学年別学習雑誌は経験済みですね。さて、こちらが昭和三十三年に発行された小学四年生なんですが」

二人とも小学四年生本誌を見る。

毅さん「なつかしいな。私の時代の小学四年生も表紙は同じような感じでしたね」

風来坊「僕の時代のとは全く感じが違いますね。僕の世代はすでにテレビ漫画などのタイアップ物のキャラクタが表紙を飾っていましたね。たとえば、ドラえもんなんかは当時、連載していましたから。付録についてもキャラクタを全面に押した物と学習物とに完全に分かれていましたね」

「付録の話になりましたが、この昭和三十三年度小学四年生の付録は豪華七大付録、こちらの方はいかがでしょうか」

風来坊「学習別冊小四夏休みなんでも事典が第一付録ですね。僕の時代は組立付録、別冊それも野球入門とかまんが家入門とか。それに理科の科学漫画の別冊もあった記憶があります」
毅さん「この、第二付録の組立付録、夕涼みまわりどうろうなんて泣かせますね(笑)」

風来坊「全くです(笑)。僕は陸の図鑑と水の図鑑が気になります。本誌の付録の作り方のページを見ると『夕涼みの科学』と称してとうろうの仕組みなどを紹介して、付録の説明になっています。しかし、この作り方の説明、難しいですね。紙でできているので三分したらやめてくださいというのがいいですね(爆笑)」

「別冊のほうはいかがでしょうか」

毅さん「漫画、事典、別冊の付録は私の時代とあまりかわりませんね」
風来坊「そうですね。別冊は学習もの、今回は事典ですね。まんがも夏むきのものですね。僕の時代はもっと漫画チックになっていましたが同じようなものはありました」
毅さん「別冊漫画と言ったら200ページぐらいの厚い漫画がメインについていました。本誌の7~8倍の厚さになってて、すごかったですよ」
風来坊「組立付録プラス別冊5冊というのが僕の時代の定番でしたね。必ずドリルもついていたし。今の小学四年生にはドリルなんてついていないでしょ?」

「付録で何か思い出はありますか」

毅さん「私は組立付録はなぜか作りませんでしたね。別冊の漫画の方が好きでした」
風来坊「僕はとっても印象に残っている付録があります。当時、がんばれロボコンとドラえもんがはやっていて『ロボコンのタイマー付き日光写真機』とか、『ロボコンのゆうれい城助けろゲーム機』などがおもしろくて覚えています。タイマーは振り子時計の仕組みと同じでおもりを揺らしてカウンターを動かすしくみになっていました。当時、電池を使わないで動くのがとっても不思議でした。助けろゲームは良くできていましよ。『バトミントンゲーム』もあって、これは素晴らしくおもしろかったです。言葉だけでは説明できないのがくやしいです」

「さて、本誌の方ですが、こちらが目次になります」

風来坊「コンテンツが多いですね。特集、連載読み物、連載漫画、傑作読み物など盛りだくさん。これを1ヶ月で読み切るのは大変ですね」

毅さん「読み物、漫画はだいた2~6ページ以内が多くて飽きさせない工夫がしてありますね。そうじゃない と最後まで読んでくれないのですね」
風来坊「リアルタイムで連載されている少年探偵団シリーズを見るのは初めてですよ。『鉄人Q』がちょうど連載されていた時代ですね。あと、学習のページがすごいですね。体育科、社会、理科、算数、国語、お習字、メンタルテストなど、すべて本当に学習のページですね」
毅さん「当時は現在の漫画ばかりの本だと、おうちの人が買ってくれなかったのですね。だから学習面を強くだした雑誌にしあげているのですね」

「今月号の特集は夏の怪奇特集ですね」

風来坊「僕がびっくりしたのは『船をのむおおうずまき』という絵物語なんですが、原作がポー(エドガ・アラン・ポー)なんですね。小学四年生にまさかポーの話が掲載されるなんて今じゃ考えられないですね。たぶ ん今なら『学校であった本当の怖い話』とかになるんでしょうけど」

毅さん「編集のしかたも今とだいぶ違いますね。風来坊さんが言っているように現在なら学校であったシリーズみたいでしょうけど、ここに載っているホラーはすべて海、山などの話で古代文明とか昔から不思議と言われているアトランティスやイースター島などの話にからめていて、ちゃんと学習もできるようになっているのがすばらしいです」

「漫画も風来坊さんが書いておられる『ふうちゃんとコペルおじさんのお話』のように科学的な話になっていますね」

風来坊「そうですね。私は昔の話のような書き方が好きですから(爆笑)」

「お二人とも、気になった記事はほかにありませんか」
風来坊「僕はこの『まんが訪問』の多摩動物公園の記事がおもしろかったです。多摩動物公園はこの時期に開園したらしく、どのように作られたかの記事になっています。『世界にだってあんまり見られないはなしがい動物園』と紹介されていますね(笑)。サファリパークという言い方がなかったのですね。」

毅さん「私は『涼しいかみのゆい方』というちいさなスペースの記事が目を引きました。女の子の夏向きの髪なんですが、『おかあさんかおねえさんにしていただきましょう』なんて、今じゃ書けませんよ。この記事の作者がメイ・ウシヤマというのがいいですね(笑)」
風来坊「とにかく読み物が多いですね。今の小学四年生が見たらすぐに投げ出してしまうのではないでしょうか」
毅さん「でも、クラスの上位の子ならきちんと読むのではないですか。物語はとても良くできていて、おもしろいですよ」
風来坊「そうですね。当時はテレビはほとんど一般には無くて、ラジオと本が娯楽の時代ですからね。現在の小学四年生はテレビのキャラクターをだせばすぐにそのイメージの世界に入っていける。昔の小学四年生は色々な話の中から自分の好きな話を選んで自分で想像して楽しむ。の、違いでしょうか」
毅さん「現在の子供はちょっとかわいそうだと思います。すべてが受け、で自分で思考する余地がほとんど無いですから。テレビゲームがその例ですね。べつにゲームを非難するわけではないですがね。まあ、本人達がまったく気づいていないとおもいますがね。」

風来坊「学力レベルで言ったら同じか現在の子の方がいいかもしれませんね。しかし、思考や想像で比べたら間違いなく昔の子の方が良かったと思います」
毅さん「この昭和三十三年に発行された小学四年生、現在ではいったいいくらするのですか? 昔、私が古本屋で購入した時はたしか350円ほどでしたけど」

「これは、お借りしてきた物なので価格はわかりませんが、だいたい3000円ほどするそうです」
風太郎「ええっ。そんなにするのですか。最近は雑誌や漫画の古本価格が高いですね」
毅さん「そうですね。ちょっとおかしいですね」
「さて、そろそろお時間なのですが、最後に何かひとことどうぞ」
毅さん「今度は私のリアルタイムで出版されていた小学四年生が読みたいです」
風来坊「僕はこの小学四年生に載っている広告、『少女ブック』の付録の『ステキな真珠のネックレス』がとてもきになりますね。(爆笑)あと、来月号の付録が『赤と青のすばらしいボールペン。新学期に役立ててください』というのも気にいりました(笑)」
「今日はお忙しいところ、ありがとうございました」
風来坊「いえ、楽しませてもらいました。またよろしくおねがいします」
毅さん「お疲れさまでした。またよろしくお願いします・・・あの、この小学四年生、しばらく借りてよろしいでしょうか・・」
一同「爆笑」

おわり


 

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