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都筑探偵事務所  
秘書『秋絵』のパラレルワールド

秘書『秋絵』のパラレルワールドは、トップページに「都筑本紹介」で物語に入り込んだ「秋絵」のお話です。勝手に物語に登場させていますのでご了承くださいませ。


 こんにちは、都筑探偵事務所へようこそ。私は探偵事務所の事務員兼都筑所長秘書の秋絵です。
都筑所長がハワイに出張中なので私がこの事務所を切り盛りしているの。
私のお友達の紅子からここの事務所の手伝いを頼まれたときは「気に入った仕事しかしない都筑所長だかららくよ、秘書兼事務員でお手伝いお願いできないかしら」って言われて、私も探偵というお仕事に興味があったので二つ返事でO.K.したの。
 最初は事務と秘書のお仕事だったんだけど、紅子のマンションで事件があったときに一緒に解決した事があるの。それで都筑所長「我が事務所にも素晴らしい探偵ができた」って喜んじゃって何かというと私を担ぎ出すの。
でもね、私ここに所属する探偵さんが個性的でおもしろくって一緒に探偵するのが楽しいの。

 さて、その私の奇妙奇天烈な探偵物語を紹介するわね。

角川文庫 なめくじ長屋捕物帳さわぎ  「血みどろ砂絵」第一席「よろいの渡し」より。

 砂絵のセンセー、お久しぶりです。秋絵です。
今日はお天気も良いからきっと八辻が原で砂絵をおかきになっていると思ったわ。
今日の「英泉ばりの花魁の砂絵」素敵ですね。
さっき聞いたんだけど、下駄新道のご隠居さんの所での殺し、お調べになっているの?
きゃっ! 誰!私のおしりさわったの!
まあ、アラクマさんじゃないの。もう。「ふくさの秋絵」さんですかって大きな声で言わないでよ。

 実は私、ここでは「ふくさの秋絵」って呼ばれていて江戸の情報屋という事になっているの。
砂絵のセンセーは私の素性を知っているんだけど、なめくじ長屋のみなさんには「情報屋のふくさの秋絵」なの。
え、なんで「ふくさ」かって? 
私の巾着にはいつもふくさと琴の爪が入っていて、何かあるとふくさや琴の爪が武器になるの。
だからみんな「ふくさの秋絵」って呼ぶのよ。

 あら、ユータさんにかっぱさん、お久しぶりね。え、ふくさの芸を見せて欲しいって? 
やだ、センセーも。しょうがないわね、じゃあ、ここにある扇子を頭の上に掲げて、そうね、ユータさんとかっぱさんにお願いしようかしら。橋の欄干にたってね。あら、アラクマさんが口上しているわ。もう、人がたくさん集まってきちゃった。しょうがないわね。

 秋絵は巾着からふくさを出してユータとかっぱが立っている欄干の逆へ行き立つ。アラクマが「さあ、あのふくさが見事にあの扇子を射抜いたら拍手喝采!」と大きな声で口上。
 秋絵は「仕方ないわね」という顔をし、口をキッと締めユータとかっぱの頭上にある扇子を睨む。

「はっっ」 威勢の良い声とともに柔らかいふくさがまるで板のように回転しながら扇子をまっ二つに射ぬく。
射ぬくと同時にふくさは秋絵の手元に。板のように回っていたふくさは柔らかい布に戻っている。

ユータとかっぱが持っていた扇子を見事に射抜いた。
「ねえさんお見事!」アラクマが叫ぶ。

 またやっちゃった。あんまり目立っちゃいけないって都筑所長から言われているのに。もう。
 でも、みんな楽しい人達ばかりなの、なめくじ長屋のみなさんはね。

つづく


 

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