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都筑ファンクラブ  

 風来坊が読んだ都筑本の感想です。


★ 海賊コブラを思い出させる 「銀河盗賊ビリイ・アレグロ 集英社文庫

 主人公「ビリィ・アレグロ」は銀河系をかける盗賊で、ポンコツ宇宙船「タロウ」をお供に銀河を駆け回っている。ビリィの本名は「ビリイ・アレグロ・ラトロデクトス・ナルセ」という名で判るとおり、遠い先祖には日本人がいるらしい。 と、本文に書いてあるのですが、まるで「海賊コブラ」ですね(笑)この本を読んでいる時、漫画の「コブラ」を思い浮かべていました。必ずお供する相棒がこの手の話には出てくるのですが、「コブラ」ではアンドロイドの「レディ」、このビリイにも人の心を読むことの出来る「ダイジャ」がいつもビリイの腰にベルトのように巻き付いています。この本に収録されている話は六編なのですが、これ以上は書かれていません。キャラクター、物語のシュチュエーション、無限に話は広がりそうですが、最終話「顔のない道化師」でこれ以上続けられないような終わり方になっています。(あ、ビリイが死んだとかじゃなくてね)とても思い切った最終話になっています。これが最初に単行本になったのが昭和五十六年、「海賊コブラ」と、どちらが先に宇宙を荒らし回っていたのかな。
 「銀河盗賊ビリイ・アレグロ」 集英社文庫 89/I ISBN4-08-750619-3 C0193 320円(初版時の価格)
 昭和五十八年四月二十五日 第1刷  単行本:昭和五十六年一月奇想天外社より刊行。  現在絶版。
 ・双頭の毒蛇
 ・アンドロイド&ロイド
 ・覆面条例
 ・野獣教程
 ・メイド・イン・ジャパン
 ・顔のない道化師
 解説:半村 良  表紙:大友克洋
 276ページ

☆ 行きつけのバー伊留満 名探偵もどき文春文庫 

 「名探偵もどき」は都筑センセの「もどき」シリーズの第一作で、「捕物帖もどき」「チャンバラもどき」と全部で三部作になります。今回の「名探偵もどき」の舞台は某私鉄沿線沿いにあるバー「伊留満(いるまん)」のマスター茂都木宏、ママの蘭子のふたり。マスターの宏が現代のドン・キホーテで、(安売り店ではないですよ!)推理小説の主人公になってしまう癖があるのです。今回の文庫でもポアロ、マーロウ、コロンボ、金田一などなど、八人の名探偵(!?)に早変わりしてしまいます。それで事件はほとんどママ(奥さんですね)の蘭子が解決してしまうのです。よって、この本の主人公はママ、蘭子なのです。この蘭子なんですが、結構腕っ節と度胸があって、宏さんやお客さんのピンチの時に素早い状況判断と行動によって幾たびのピンチを脱出しています。それもそのはず、じつはこのママの蘭子は元凄腕のスリだったのです。旦那の宏さんのお父さん(探偵事務所を開いていた。すでに亡くなっている)に命を助けられて、茂都木家にご厄介になり、その後宏さんと恋愛、結婚となっているのです。
 この本の中で一つ気に入っている話があります。「金田一もどき」で、場所はハワイでの事件なんですが、そのハワイでストローハットに着物・袴、サンダルでディスコに行ってしまうのです(爆笑)本文でも「まるで坂本龍馬が異人館の舞踊会へ出かけていく図のようじゃないの!」と言うせりふがあります。そして、この事件の最後に七十近い老人がでてくるのですが、それがなんと余生を送っている本物の金田一だったのです。こういう所の演出もにくいですね。このバーの常連客も、推理小説作家とか画家など、都筑ワールドの定石をちゃんと守っています(笑)こういうバーがあれば間違いなく常連になっていますね。本文のカットは和田 誠、解説が内藤 陳という所も泣かせます。
 「名探偵もどき」 文春文庫 321-1 ISBN4-16-732001-0 C0193 300円 (初版時の価格)
 1983年10月25日 第1刷 単行本:昭和55年8月文藝春秋より刊行。 現在絶版。
 ・ヴェルヴェットもどき
 ・ポアロもどき
 ・ホームズもどき
 ・マーロウもどき
 ・コロンボもどき
 ・金田一もどき
 ・ルパンもどき
 ・メグレもどき
 解説:内藤 陳  表紙:和田 誠
 269ページ

☆ 探偵七つ道具と泥棒七つ道具最長不倒距離角川文庫・光文社文庫 

  来月のお勧めに掲載しようと思っていたのですが、とっても面白いので先行紹介します。この「最長不倒距離」は主人公片岡直次郎と物部次郎のコンビの心霊現象だけ取り扱う探偵物語です。ゴースト・ハンターですね。この探偵事務所の所長は物部太郎なんですが、これがお金持ちのぼんぼんで仕事をしたくないのだが親の手前何かしなくていはいけないので片岡直次郎に相談したところ、もともと直次郎は探偵事務所をやっていたのでほとんど仕事にならない「心霊現象探偵」として二人で看板をあげてしまったのでした。その第一の事件がこのシリーズ最初の「七十五羽の烏」(角川文庫 絶版、光文社文庫 まだあり)なのです。物部太郎が尊敬する人、「ものぐさ太郎」にあやかって何もしないと公言していても、結局は直次郎にそそのかされて推理してしまう。その推理がなかなか論理的で素晴らしいです。第一の事件で太郎の親父が気を良くして作った道具、手帳に仕掛けがあり、探偵七つ道具が収納されているものや、鍵やガラス切りなどその道の人の御用達セットを貰ったのですが、主人公のセリフが面 白いです。
「僕と親父はまったく似てな いと思っていたんだが、こんなおもちゃを作るところを見ると、どこが似ているんだね、やっぱり」「似てない所は、こいつを大量生産に移して、お父上なら警視庁に売りこみかねない、というとこですよ」(笑)。あととても共感したセリフがありました。恵まれた環境で育ってある程度の才能もある。スポーツも行動力もあるし、エリート意識が強くて打算的な人の話の所で「むしろ、お坊ちゃまだら、怖いのさ、わからないかな。頭がよくって、親がよくって、なんでも思いどおりになってきたもんだから、自分にも弱さがあるってことを知らない。そういう人間は、怖いもんだぜ。思い切ったことを、やりかねない」<<これって今の十代の事件に言えることじゃないですか!都筑センセは二十年前からそう思っていたのですね。すごい!!  と、いうように物語を楽しむだけでなく、色々な知識を吸収できる物語です。その後、このコンビは第三の事件の「朱漆の壁に血がしたたる」に至ります。<<光文社文庫から発売予定ですよ。なんだか文庫のあとがきみたいになっちゃいました(笑)。とにかく面白いので読んで!

☆ 老後はこんな人と友達になりたい退職刑事 徳間文庫 

 六月の推薦本の「退職刑事」なんですが、シリーズですでに6冊徳間文庫から出版されています。その第一段がこの「退職刑事」です。定年退職をした元刑事が主人公なんですが、5人兄弟の末っ子の息子の家に月の半分を遊びに行っています。なぜかというと、その息子もおやじと同じ警視庁の刑事を勤めているからで、ちゃぶ台の前でお茶をすすりながら事件のあらましを息子が話すと意外な推理で犯人を指摘してしまう、妙な推理力があるのです。この推理の過程がなかなか面白く、よく考えられています。アームチェア・ディテクティブ・ストーリーと都筑センセは名付けていますが、僕はちゃぶ台ディテクティブ・ストーリーにしてほしいと思います。内容もなかなか凝っていて、僕が特に面 白いと思ったのが 、
・「上着をむき出しで二着、自分が着ているのを含めて三着持っている人が地下鉄のホームにいたのですが、これって本当ですかね」
  第四話「ジャケット背広スーツ」  
・「キャバレー勤めの女が殺されていたのですが、男物のブリーフをはいていたのです。ええ、そんな趣味なんかない女ですがね」    
  第一話「写真うつりのよい女」  
などが着眼点の奇抜さといい、推理のものすごさといい(笑)なかなかなもんですよ。

☆ 都筑センセ式少年探偵蜃気楼博士 朝日ソノラマ 

  三月の推薦本にもでている「蜃気楼博士」は、都筑センセ唯一(かな?)の少年物の謎かけ探偵小説です。最後の方に「さて、みなさ  んにも探偵と同じ情報があります。犯人を当ててください」と書いてあります。主人公は中学一年生の草間次郎君、色々助言をしてくれる兄の昭一。(週刊誌の記者)二人のおじいさんが心理学者で(特に心霊や超能力)その弟子の久保寺のおじさん。このおじさんはアメリカでは「ヘンリ=ミラージ」と呼ばれるほどの有名なマジシャンなので、おじいさんが亡くなった後でも次郎君はよく久保寺のおじさんの家へは遊びに行っていました。その助手の足の悪い林田さん。警視庁の小沢部長刑事。この主要メンバーが3つの話にでてきます。第一話で久保寺のおじさんが亡くなってしまうのですが、その事件の真相を次郎君が考えている時、おじさんの言葉を思いだしている所があります。「すばやい観察で状況を判断し、すじみちを通 して考えて、あとは勇気で行動せよ。」という言葉です。これ、とてもいい言葉だなと感心しました。
・第一話
蜃気楼博士(霊媒の心霊殺人) 蜃気楼博士(久保寺のおじいさん)が亡くなってしまう。意外な犯人です。
・第二話
百人一首の謎 六枚の百人一首の「下の句」のカードから法則を見つけて犯人を当てる。後半で百人一首のカードを道ばたに置 いて道筋を教えるところはまるでBDバッチ見たいでよかったです。(笑)
・第三話
午後5時に消える 次郎と兄の昭一、近所に住んでいるあゆみさんの三人で、「事件の経過」と「警察からの証拠写 真」だけで推理、解決するというチェアーディテクティブの様な話です。次郎君の成長著しいですよ。(笑)なんだか学年別 学習雑誌に連載するとよい感じのキャラクターです。このキャラクター、他でも出演しているのかな?

☆ こんな友達が欲しい!キリオン・スレイの敗北と逆襲 角川文庫 

 このキリオン・スレイ(主人公の名前。自称詩人、アメリカ人)はとっても愉快で面 白い人物です。角川文庫から全4冊出版されていて、この「キリオン・スレイの敗北と逆襲」は4冊目、完結編になります。「キリオン・スレイの生活と推理」「キリオン・スレイの復  活と死」「キリオン・スレイの再訪と直感」そして「敗北と逆襲」になります。今回の敗北と逆襲はシリーズ初の長編で、見立て殺人事件を解決するのですが、今回は事件に首を突っ込むのではなく、ちゃんと依頼されて推理するところが今までと違う所です。今までの事件解決でキリオンにはファンがいて、落語家の柳亭茶楽、おとうと弟子の柳屋権八、水菓子屋のウォーター・ケイク氏、西郷隆盛に容姿が似ている天野警部など、目白のバー「モダン・タイムス」の常連達が日本に来るキリオンを「青い目の銭形平次」と慕って迎えにいく場面 があります。今回の事件は複雑で落語の小話からの見立て殺人事件になっており、都筑センセの落語通がよく出ています。この「キリオン・スレイの敗北と逆襲」の題名、読み終わって納得できました。キリオンは事件を解決! してアメリカに戻っていきましたが、再訪を楽しみにしています。 

☆ ほんとうににぎやかなにぎやかな悪霊たち 講談社文庫

 「にぎやかな悪霊たち」はとっても憎めない悪霊達が短編として15篇編集されています。オカルト研究家、人気物の出雲耕平が主人公に見えるがじつは某綜合雑誌の編集者、「いずもオカルトレポート」担当の鶴来六輔が事件を解決しています。鶴来の恋人、由香里と一緒に霊現象を解決するのですが、でてくる悪霊が憎めなくて「新婚夫婦のベットをのぞく幽霊」とか「古い家の庭でヌードパーティをする団体幽霊」など、奇抜すぎる霊のオンパレード! とても楽しめます。この出雲オカルト研究所がある東池袋のビルの1Fにある喫茶店ブルブルも面 白く、妖怪趣味のあるマスターの店ならではの調度品の数々。ドラキュラ伯爵の肖像画や源頼光の頭に土蜘蛛が噛みついている図柄の凧とかこの辺の凝写 のうまさ。さすが都筑センセですね。文庫の解説が高信太郎の四コママンガになっているのも見逃せません。この本もやはり新宿のバーがでてきます。都筑センセは本当に新宿が好きなんですね。(笑)僕もそうですが。この出雲オカルトシリーズ、もっと続けて欲しかったなぁ。このあと、幽霊物は雪崩シリーズになります。この「にぎやかな悪霊たち」TVで「出雲オカルトシリーズ」とか名前つけてドラマにできそうです。検討してみてください! TBS又はテレビ東京さん。

☆ やっぱり最初は妄想名探偵 講談社文庫

 最初は風太郎が初めて都筑先生と出会った本、「妄想名探偵」ですね。何回読み返しても面 白いです。新宿ゴールデン街にある酒場「まえだ」の一番端でいつも酔っぱらっているアルジェの忠太郎、アル忠氏。もと奇術師、もと商社マン、もと数学教師もと刑事、もと俳優、そしてもとポン引きでもあったと自称するアル忠氏。この飲んだくれの名探偵アル忠氏の鋭い洞察力で難事件を解決していくストーリーはとても面 白く、特に新宿歌舞伎町、一丁目、二丁目、三丁目、御苑あたりを飲み歩く風太郎としては臨場感もあり、まるで風太郎もその酒場「まえだ」にいるような錯覚を起こします。(酒場「まえだ」は本当にあったらしい)この本を初めて読んだ時、風太郎は高校一年生。バーカウンターのみの酒場にあこがれていました。(そのころから酒飲んでいたけど)今じゃ場末のバーに出入りするとは思いませんでした。(笑) この本、主人公はアル忠氏なのですが、「まえだ」に出入りしている推理作家、津藤の視点で書かれています。どうです? 読みたくなってきましたか? さあ、古本屋へGO!! 講談社 さん、是非再版してください!

 


 

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