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土の採集へ 土は燃えるか その2

 日曜日の朝です。庭に咲いている朝顔も朝露に濡れて光っています。
小学校四年生のふうちゃんは朝の日課になっているお花への水撒きをしながら考え事をしていました。
昨日、親戚の大学院生のコペルおじさんとのお話で「土は燃えるか」という宿題をもらっていたのです。
「うーん。この土が燃えるのかなぁ」
午後からコペルおじさんの家でその答えになる実験をみせてくれるそうなので、ふうちゃんは少しでも答えをだそうとずーっと考えていました。

 水撒きをした跡の地面は朝日を受けてキラキラしています。ほのかな土と緑の香りがします。

 朝ご飯をおかあさんと一緒に食べているとき、おかあさんに相談してみました。
「ねえ、おかあさん。土って燃えると思う?」 突然の質問でおかあさんはちょっとビックリしました。
「えっ、土って地面の土のことかしら? そうねぇ・・やっぱり燃えはしないのじゃないかしら」
ふと、おかあさんは気づいたようにふうちゃんに話ました。
「土とは関係が無いでしょうけど、一つよいお話があるわ」
「なに? おかあさん」
「この間銀座へお買い物に行ったとき、お昼にステーキをいただいたでしょう。憶えているかしら?」
「うん、すごく美味しかった! また行きたいなぁ」
おかあさんはちょっと笑いながら続けました。
「あの時どうやってお肉を焼いたかしら?」
「あ、石だよ。熱く焼いた石の上にお肉をのせて焼いたんだ」
「そうね。じゃ、その石をもっともっと熱くしたらどうなるかしら」
「えっ」
「それと石をもっともっと小さくしたらどうなるかしら」
「うーん・・あっ」 ふうちゃんは何かに気づいたようです。
「そうか! きっと砂みたいになるよね。おかあさん、ありがとう!」
おかあさんはにこにこしながら言いました。
「さあ、そうしたらちゃんとご飯をお食べなさい。あんまり考え事をしながらお食事をしていると落ち着くところに落ち着かないじゃないの」
*   *   *   *
 お昼を済ませるとふうちゃんはすぐに約束のコペルおじさんの家にやってきました。
「ふうちゃん。こっちこっち」
お庭の方からコペルおじさんの声がします。おじさんはすでにお庭にでていて、ふうちゃんを待っていました。
「やあ、ふうちゃん早いね」
「こんにちは、コペルおじさん。おじさんこそもう用意ができているみたいだね」
しかし、実験ではなく、コペルおじさんは庭の外へでようとしています。
「さあ、さっそく行こうじゃないか」
コペルおじさんはザックをしょって言いました。
「えっ、行くって・・いったい何処へ行くの?」
「土を取りにいくんだよ」
そう言うとふうちゃんをつれて川の土手の方へと歩いていきました。
「どこに土を取りに行くの?お庭の土じゃだめなの?」
「おじさんの庭の土はすでに花壇として色々な物がまじっているからだめなんだよ。もっと自然に近い形で 残っている土で実験しなければちゃんとした結果がでないんだよ。おじさんが通う大学の研究室の裏手の林が ちょうどいいのでそこで土を取ってこようと思っているんだよ」
 ふうちゃんとコペルおじさんは話しながら川の土手を歩いています。

「どうだい、ふうちゃん。土が燃えると思うかい?」
おじさんは聞きました。ふうちゃんは地面の石を蹴りながら、
「色々考えたんだけどやっぱり燃えはしないと思うよ。だけどね、砂場の砂ってほら、今蹴った石をもっと もっと小さく砕いたのと同じだと思うんだ。だから凄く熱くすれば紙を近づけただけで紙が燃えてしまうと思うから、燃える条件の(きっかけ)にはなると思うんだけど・・どうかな」
コペルおじさんは足を止めてふうちゃんの方を向きました。
「おや! 凄いね。おじさんが今からやろうとしている実験の一つを言い当てられちゃったなぁ」
「本当に!」
ふうちゃんは得意そうにしています。
足もとの石を取り、川に投げました。2~3回水面をはねて行きました。 ふうちゃんとコペルおじさんは大学の研究室へとむかいました。
*   *   *   *
 研究棟の門を入り、守衛を抜けるとすぐにコペルおじさんの研究室があります。
ここは前に月の大きさの実験でふうちゃんは訪れたことがあります。その建物の後ろに他の研究室があり、そこから林が続いています。 中程には池もあり、とても落ち着いた静かな場所です。
ふうちゃんとコペルおじさんは池の見える林の中まで歩いていきました。
「わあ、こんな所があるなんて知らなかった」
ふうちゃんは池が見える林の中で辺りを見渡しています。
「ここはね、女神の泉という名前が付いていて、研究室のみんなが本を読んだりぼーっとしたりする所、つまりさぼりに来るところなんだ」
そういってコペルおじさんはにこにこしながら煙草に火をつけました。
「さあ、ふうちゃん。下を見てごらん、落ち葉がたくさん落ちているよね。ここから土をとっていこう」
コペルおじさんはザックを下に置き、中からビニル袋の束と折り畳みのスコップを取り出しました。
「ふうちゃん、まず上の落ち葉をどけて濡れた落ち葉あたりまで掘ってみたえ」
ふうちゃんは言われたとおりに掘りました。コペルおじさんが差し出すビニル袋に濡れた落ち葉あたりの土を いれます。
「じゃ、今度はもうちょっと掘ってごらん」
ふうちゃんが掘ると小石がまざった湿った黒土が見えてきました。
「そこ! そこの土をこのビニル袋にいれて」
「じゃ、もう少し掘ろうか。今二十センチぐらいほったからあと二十センチ掘って土をとろうか」
コペルおじさんは二十センチほどの深さごとに土をべつべつにあつめ、全部で四袋の土を集めました。
「コペルおじさん、これ以上このスコップじゃ掘れないよぉ」
「うん、もういいよ。ごくろうさま」
コペルおじさんは吸っていた煙草を携帯灰皿にしまいました。 そして集めた土を入れたビニル袋にマジックで番号を書いてザックにしまいながら言いました。
「ふうちゃん、土を集めたこの場所をよく憶えておきたまえ」
「じゃあ、いこうか。研究室で休憩したらさっそくおじさんの家で実験だ」

ふうちゃんとコペルおじさんは土を持っておじさんの家に戻っていきました。いったいどんな実験を おじさんは見せてくれるのでしょうか。

土の採集へ  土は燃えるか  つづく    風来坊

 

 

 
 

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