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実験 土は燃えるか その3

 今日は日曜日です。小学校四年生のふうちゃんは、土曜日に親戚のコペルおじさんとの約束の、土を燃やす実験をするためにお昼がすんでからおじさんの家へ行きました。

 すぐに実験が始まると思っていたら、コペルおじさんはふうちゃんを連れて土を取りにいきました。お庭の土は肥料とかが混ざっているので、実験に適さないそうです。
大学の研究室の裏手の林から土を取って、二人はコペルおじさんのお家に戻ってきました。
*   *   *   *
「さあふうちゃん、実験を始めようか」
「はーい」
コペルおじさんはさっき取ってきたポリ袋に入った土を縁側に広げた新聞紙の上に置きました。
「ふうちゃん、この番号の意味はわかるかい?」
ふうちゃんは左から順番に1から4までの数字を書いたポリ袋を並べてから、
「うん。これは土を取った順番だよね」
「そうだよ。地面から20cmずつ掘って取ったものだね。それとこれ、砂場から取ってきた土だよ。これを5番にしようか」
コペルおじさんは4番のポリ袋の隣に砂場の土を置きました。
「よし、これで材料はそろったね」

 コペルおじさんは庭の真ん中にテーブルをだしました。
その上にはカセットコンロとフライパンが乗っています。
「ふうちゃん。これからおじさんが順番に土を燃やすからその現象をくわしくメモしておきたまえ」
コペルおじさんはふうちゃんにスケッチブックとフエルトペンを渡しました。
「さあ、まずは1番の袋に入っている土からだよ」
ふうちゃんはスケッチブックに1番の土と書き込みました。
コペルおじさんはシャベルでひとすくい分の土をフライパンに乗せ、均等に土をならしてコンロの火をつけました。

「ふうちゃん。よく見ているんだよ」
しばらくするとなんだか臭い匂いがしてきました。
「コペルおじさん、なんだか臭いね。まるで肥やしを燃やしているみたい・・あれ! おじさん、なんだか 煙みたいなのが出てきているよ!」

 熱し始めてからだいぶたって、フライパンの土は表面が乾いてきています。そこからなんとなく煙のような物がでています。コペルおじさんは先の長いライターで表面に火を近づけました。 するとどうでしょう。ぽっぽっといいながら一瞬火がついたようになりました。
「おじさん! 火がついたよ! なんで?」
コペルおじさんはフライパンを火から下ろして花壇の端に置いてある浅い何もはいっていない植木鉢に中身を出しました。
「ふうちゃん。今の状態をまとめて書いてごらん」
ふうちゃんはスケッチブックに今見た状況をメモしました。
さて、なんて書いてあるのでしょうか。覗いてみましょう。

 1の土(地表すれすれ)・・土の状態(湿っている。枯れ草が混じっている) 最初、じくじく音をたてていた。匂いも臭かった。その後表面が乾燥してきて、中の方から何となく煙のようなものが登ってきた。コペルおじさんが火を近づけたら「ぽっぽっ」と、一瞬燃えたように見えた。なぜだろうか?

「書けたかい?」
コペルおじさんはふうちゃんに聞きました。
「コペルおじさん、一体何が燃えたの?」
「それは実験が終わったときに解るよ。じゃ、つぎは2の土を実験してみようか」
コペルおじさんは1の土と同じようにフライパンで熱しました。 最初はじくじく音を立てて水分が蒸発する音がしました。1の土と同じく臭い匂いがします。おや、またも や白い煙のような物がでています。
「あれ、おじさん。さっきと同じだよ! 煙のようなものがでているよ」
「ふうちゃん、このライターで火を近づけてごらん」
ふうちゃんがライターの火を近づけるとさっきより小さな音ですがぽっぽっと音がしてなんとなく火が 燃えたような気がします。
「あ、同じだぁ! さっきと同じだよ!」
ふうちゃんは興奮してフライパンの中の土を見ています。
ふうちゃんのメモです。

 2の土(地表から約20cmの深さの土)・・土の状態(湿っている。細かい枯れ草や枝が混じっている) 最初、水分が蒸発する時のじくじく音を立てていた。そのうちに臭いにおいがしてきて1の時と同じような状態(煙とにおい、表面の乾燥)になった。今回も煙に火がついたようになった。

実験は3、4と続きました。

その時のふうちゃんのメモです。

 3の土(地表から約40cmの深さの土)・・土の状態(湿っている。花壇にある黒土のように黒々している) フライパンで焼いても煙はでてこなかった。ただ、水分が蒸発する時のにおいがした。そのうちに表面から乾燥してきて、ぱらぱらの土になった。

 4の土(地表から約60cmの深さの土)・・土の状態(湿っている。ちょと石が混ざっている。かなり堅い土) フライパンで焼いた状態は3と同じ。でも土の感触は黒土とはちょっと違い、強くおされたように目の詰まった土のようだ。明らかに3と4の土は種類が違うように感じる。

 なるほど、ふうちゃんの着眼点はとってもよさそうですね。
コペルおじさんもにこにこしてふうちゃんのメモ を読んでいます。
「さて、ふうちゃん。この5の土、公園の砂場から持ってきたのだけどこれを実験してみようか。これはさっききみが言っていたようになるかお楽しみだね」
コペルおじさんは5の土をフライパンに入れて熱し始めました。
おや、この土は一見さらさらに見えるけどけっこうだまになっている所もありますね。
しばらくはなんの反応もありませんでした。1から4の土のように煙や匂いもなく、ただ熱を持っている ようです。
「あれ、コペルおじさん。なんだか色が変わってきたように見えるよ。なんか赤っぽくなってきたかな」
ふうちゃんはフライパンをのぞきながらいいました。
「ふうちゃん、この鉄箸でかたまりになっている砂をつついてごらん」
ふうちゃんは言われるままに鉄箸でちょっとつっいてみました。するとどうでしょう、砂が赤みをおびながら花火のようにちりぢりになりました。
「わあ、すごい! 線香花火みたい」
「今度はこれはどうだい?」
コペルおじさんはティッシュを持っています。
「ふうちゃん。このティッシュを焼いている砂に近づけてごらん。どうなるかな」
ふうちゃんはコペルおじさんからティッシュを受け取り、こよりのように細くしました。先を砂に近づけました。するとどうでしょう。ふれるかふれないところでティッシュが燃え出しました。
「あ、やっぱり燃えた! おじさん。僕の言ったとおりだよ。燃えたよ!」
ティッシュは炎を出して燃えています。
「さあ、ふうちゃん。この状況をメモして」
ふうちゃんはメモをします。

 5の土(砂場から持ってきた土)・・土の状態(小さな石のような粒。1から4までの土とは違う) フライパンで熱しても匂いはしなかった。かたまりを鉄箸でつついたら線香花火のようにぱっと散った。ティッシュを近づけたら燃えた。これは燃える物>ティッシュ、温度>あたためた土(砂)があるために燃えたのではないか、温度、燃える物、きっかけ(ティッシュを近づけた)がそろって燃えたのだと思う 。

ふうちゃんはコペルおじさんに向かって書きながらいいました。
「おじさん。今の実験で1から4までは同じ現象だと思うけど、5の土だけは種類が違うみたいだね」
「うん、そうだね。ところでふうちゃん。その違いっていったいなんだと思う?」

コペルおじさんとふうちゃんは縁側に座り、ふうちゃんはメモをしたスケッチブックを見ながら、コペルおじさんは煙草をふかしながらお話をしています。
「えとね、あきらかに違うのは1から4までの黒い土だけど、中に混ざっている何かが熱せられて火がついたんじゃないかな。それと砂場から取ってきた土だけど、これは石が砕かれて小さくなったような物なので、砂じたいが熱で熱くなりティッシュを燃やした。砂に混ざっている物が燃えた訳じゃない。かな?」

スケッチブックを見ながら答えていましたが、何かに気づいたみたいにコペルおじさんを見つめました。
「あれ、いったい何が混ざって火がついたのかな?」
「うん、いいところに気づいたね。じゃあ、もう一つの実験をしてみようか」
コペルおじさんは部屋に戻り、水の入った大きなバケツとガラスでできた透明な大きな広口瓶を四つ持ってきました。

「じゃ、始めようか。まずこの広口瓶の中に水をいれるんだよ」
ふうちゃんとコペルおじさんは四つある広口瓶の中に水を半分ぐらいいれました。おじさんは取ってきた土の入ったポリ袋を持ってきて、ふうちゃんに渡しました。

「さあ、ふうちゃん。この土をシャベルで一杯分この広口瓶にそれぞれ入れてかき回してごらん」
四つある広口瓶に、水と1から4番までの番号がついているぽり袋の中の土をそれぞれいれました。ふうちゃんが鉄箸でぐるぐるかき回しています。
「さて、この広口瓶の中の水が落ち着くまでしばらく待とうか」
しばらく二人はじっと広口瓶の中を見ていました。すると、

「あれ、コペルおじさん。この1と2の瓶の中の土、沈んだ物と浮かんでいる物にわかれたよ」
「そうだね。じゃあ、順番に何が浮いているかをひとつ調べてみようか」
コペルおじさんは金魚をすくうような網をもってきました。
「ここに画用紙を並べたから順番にやろうか。じゃ、まずは1番の瓶から」
コペルおじさんは1から4番までの瓶の中の水に浮いている物を画用紙の上に順番においていきました。 その様子を見ているふうちゃんは今回の実験の意味がだんだん分かってきたようです。

「さあ、全部のせたよ。ふうちゃん、これを見てどう思う?」
「この1の瓶に浮かんでいた物って・・これは葉っぱじゃないの。ほとんど原型をとどめていないけど。 でも、これなんか葉っぱって感じするよね。それと、2番以降の中にも葉っぱらしき物、枝らしき物があるよね。ねえ、おじさん。もしかして土って落ち葉からできているの?」
ふうちゃんはコペルおじさんの顔を見ながら聞きました。
「そうだよ。腐葉土と言って葉っぱを腐らせた物もあるくらいだからね。と、言うことはだね。なぜ土が燃えたかはもうだいたい想像つくんじゃないかな」
コペルおじさんはふうちゃんに聞きました。 ふうちゃんはさっきメモした画用紙を持ってきて説明しだしました。
「おじさん、土は燃えるのですね。ただし、その燃える物は土の構成物質の中の葉っぱや茎のまだ土になっていない物が熱せられて燃え出す・・あ、ちょっと違うかな。熱せられて、温度、燃料がそろうのですね。そこにきっかけができると燃えるかな」
「ふうちゃん、その通りだよ。土が葉っぱや枝などからできるのは生態系の勉強で習うことなんだ。知識としたらわずか数行で終わってしまうけど、こうして実験してみるとなかなか面白いし、それに関連して色々な事が学べるだろう? 不思議と思うことがあればどんどん探究してみたまえ」
「うん。コペルおじさん、ありがとう」
ふうちゃんはこの土が燃えるという実験をちゃんとレポートにまとめて学校へ提出しようと考えています。

「ところでふうちゃん、石って燃えると思う?」
コペルおじさんが急に質問してきました。
「え・・(あ、これはひっかけ問題だな。よし)燃えないよ。石は単一物質でできているから燃えるようなものははいっていないもん・・」
あれ、コペルおじさんは笑っていますね。
「あ!やられたぁ! 石炭があったんだぁ。今のはうそうそ!」
「はははは」
コペルおじさんとふうちゃんは顔を見合わせて笑っていました。

土は燃えるか (実験) その三 終わり (完)

あとがき

 土は燃えるか三部作、読んでいただいてありがとうございます。この物語を考えたきっかけは実は僕の中学校一年の時の夏休みの自由研究で取り扱ったものなのです。思い出しながらの文章、いたらなくてすみませんでした。(本人全然納得いっていません)後半の尻つぼみな感じはいただけないですね。 これからはもっと文章力を付けるため、がんばっていきますのでよろしくお願いします。感想を聞かせてくださいね。  

     風来坊

 次回予告 八月に入って夏休み真っ最中のふうちゃん。コペルおじさん、学校のお友達と一緒にふうちゃんのお父さんが所有している葉山の別荘に泊まりがけで出かけました。なにがあるかな? おたのしみに。

 

 

 
 

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